1. ダイオキシン類とは
ダイオキシン類とは「ポリ塩化ジベンゾ-パラ-ジオキシン(PCDDs)、ポリ塩化ジベンゾフラン(PCDFs)、コプラナ-ポリ塩化ビフェニル(Co-PCBs)のことである」(図1)とダイオキシン類特別対策措置法により定義されています。PCDDsには75種類、PCDFsには135種類、Co-PCBsには13種類の異性体があり、これらのうち毒性があるとされているのは29種類です。毒性の強さは異性体により異なるため、最も毒性が強い2,3,7,8-TeCDDの毒性を1として他の異性体の相対的な毒性の強さを毒性等価係数(TEF)で示し、各異性体の濃度に乗じて毒性等量を算出します。異性体毎の毒性等量を足し合わせて、ダイオキシン類の毒性評価を行ないます。
図1 ダイオキシン類の構造
図1 ダイオキシン類の構造
2. 従来法と簡易測定法の違い
ダイオキシン類簡易測定法は、従来指定されていた公定法(全てのダイオキシン類の測定に適用可能な方法:高分解能GC/MSを用いた方法)に対して、より廉価な機器等を用い、かつ試料の前処理方法についても迅速化・簡便化を図っていく方法であり、平成22年頃に認可されました。従来法と簡易測定法には高い相関が認められますが、従来法においては、2種類のキャピラリーカラムを使うのに対して、簡易測定法では1種類のキャピラリーカラムを使用するため、特定の異性体が他の異性体と分離できず高い値として検出されることがあります。このため土壌のダイオキシン類簡易測定法マニュアルでは、従来法による測定値との比が0.5〜2.0の範囲に入っていること、従来法による測定値との比が0.5より小さくなる確率が1%未満であること、従来法による測定値との比が2.0より大きくなる確率が1%未満であることなど、を認可の基準としています。
3. 簡易法で分析できる対象項目
ばいじん、燃え殻、焼却能力2000kg/時未満の廃棄物焼却炉の排出ガス、土壌、概略範囲調査時における底質、産業廃棄物に係る判定試験の汚泥・燃え殻・ばいじん、焼却炉解体にあたっての汚染物が簡易法で分析できる対象項目です。