塗膜くず分析

1. PCBの用途



 国土強靭化計画のアクションプランにおいて橋梁の長寿命化が図られ、このため古い橋梁塗膜を剥離し、より耐久性の高い塗装が施されることになりました。これまで橋梁塗膜は修復工事のたびに重ね塗りされてきたため、防錆剤として鉛・クロム、可塑剤としてPCBが塗膜に含まれている可能性があります。これらの有害物質は、剥離作業にあたる作業者の健康に悪影響を与えるおそれがあり、また剥離した廃棄物は建設汚泥もしくは鉱滓として処分するため、表1に示す分析が必要とされます。処分時におけるフローチャートを図1に示します。

鉛及び鉛化合物
法律 試験方法 基準値 定量下限 検出された場合の対応
労働安全衛生法関係厚生労働省令
鉛中毒予防規則
含有量試験 検出されないこと※1 0.06%
(600mg/kg)
※2
鉛中毒予防規則に従い作業する。※3
廃棄物処理法 産業廃棄物の検定方法に係る分析操作マニュアル(溶出試験) 0.3mg/L以下 0.03mg/L 基準値を超える場合は遮断型最終処分場へ搬入する。
基準値以下の場合は管理型最終処分場へ搬入する。※5

クロム及びクロム化合物
法律 試験方法 基準値 定量下限 検出された場合の対応
労働安全衛生法関係厚生労働省令
特定化学物質障害予防規則
含有量試験 「クロム酸及びその塩」として、重量の1%を超えるものを特定化学物質とする
(10,000mg/kgを超える)
0.03%
(300mg/kg)
※2
特定化学物質障害予防規則に従い作業する。
労働安全衛生法 0.1を超え1%以下の場合(1,000mg/kgを超え10,000mg/kg以下)※4 「クロム酸及びその塩」の化学物質安全データシートをもとに、作業者の安全衛生を確保する。
廃棄物処理法 産業廃棄物の検定方法に係る分析操作マニュアル(溶出試験) 「六価クロム化合物」として、1.5mg/L以下 0.15mg/L 基準値を超える場合は遮断型最終処分場へ搬入する。
基準値以下の場合は管理型最終処分場へ搬入する。※5

PCB(ポリ塩化ビフェニル)
法律 試験方法 基準値 定量下限 検出された場合の対応
労働安全衛生法関係厚生労働省令
特定化学物質障害予防規則
含有量試験 重量の1%を超えるものを特定化学物質とする(10,000mg/kg超) 0.01mg/kg 特定化学物質障害予防規則に従い作業する。
労働安全衛生法 0.1を超え1%以下の場合(1,000mg/kgを超え10,000mg/kg以下)※3 「PCB」の化学物質安全データシートをもとに、作業者の安全衛生を確保する。
廃棄物処理法 特別管理一般廃棄物及び特別管理産業廃棄物に係る基準の検定方法 別表第三部材採取試験方法(含有量試験) 付着または封入されていないこと(PCB汚染物であるが、PCB処理物の基準を準用して0.01mg/kg以下) 0.01mg/kg 0.01mg/kg(自治体によっては0.5mg/kgの場合もある)を超え、5000mg/kg未満の場合は低濃度PCB廃棄物として、無害化処理認定施設・都道府県知事等許可施設にて処理する。5000mg/kgを超える場合は高濃度PCB廃棄物としてJESCOで処理する。※6※7
産業廃棄物の検定方法に係る分析操作マニュアル(溶出試験) 0.003mg/L以下 0.0005mg/L 基準値を超える場合は遮断型最終処分場へ搬入する。
基準値以下の場合は管理型最終処分場へ搬入する。※5

※1 安全衛生法施行令別表第4の備考の4において、「含鉛塗料」とは、鉛化合物を含有する塗料をいう」と定義されており、厚生労働大臣が定める鉛化合物(酸化鉛等13種類)が含まれていればこれに該当する。なお、この鉛含有量をはかるための具体的な定めはない。

※2 「JIS K 5674鉛・クロムフリーさび止めペイント」において鉛フリーの基準は0.06%以下、クロムフリーの基準は0.03%以下であることから、鉛及びその化合物、クロム及びその化合物の定量下限を鉛は0.06%、クロムは0.03%とする。

※3 鉛等有害物質を含有する塗料の剥離やかき落とし作業における労働者の健康障害防止について
平成26年5月31日厚生労働省

※4 政令で定める危険物、有害物質(633種)及び特定化学物質第1類物質(7種)を譲渡、提供するものは、だれでもその名称、成分、含有量、人体に及ぼす作用、貯蔵または取り扱い上の注意事項その他の項目を文書の交付等により相手に通知しなければならない。この文書は化学物質安全データシート(略称:MSDS)と呼ばれている。ここにおいて、「人体に及ぼす作用」は、GHSの表記方法に沿って書くこととされている。これらの情報は、取り扱う者の安全衛生に生かされることが期待される。

※5 塗膜をはがす為に、研磨剤を吹き付ける場合は塗膜くずと研磨材を合わせて産業廃棄物の区分は鉱滓になる。
 静岡県では、例えば神田鉱産鰍ノおいて処分され、受け入れ時に必要な試験は溶出試験(項目:水銀、カドミウム、鉛、六価クロム、砒素、シアン)、水素イオン濃度、含水率、油分である。PCBが使用された可能性がある場合はPCBの溶出試験結果も必要となる。

※6 低濃度PCB廃棄物である場合は焼却処分となる。廃棄物処理法に基づく無害化処理認定施設・都道府県知事等許可施設

※7 重金属を含有する低濃度PCB廃棄物である場合も焼却処分となる。受け入れ時に必要な試験は例えば三池製錬(株)では、含有試験(項目:鉛、六価クロム、水銀、カドミウム、砒素、セレン)である。エコシステムグループでは含有試験(項目:鉛)である。受け入れ事業者によって、項目は異なる。


図1 塗膜くずの処分フローチャート(例)